クラリスロマイシンの副作用を知っておこう

 

クラリスロマイシンは細菌に感染したときの諸症状に効果がありますが、そのぶん副作用についてもそれなりの考慮が必要です。

 

  1. クラリスロマイシンの副作用の内容
  2. 注意点

 

ここでは、これらの点を中心に解説していきます。

 

クラリスロマイシンの副作用が出る確率・頻度は?

クラリスロマイシンは承認当初に検査が行われており、なんらかの副作用が出現する確率・頻度がデータとして出されています。

 

症例 成人 小児

一般感染症

3.33%

2.08%

ピロリ菌

50.5%

-

参考ページ:クラリス添付文書

 

上記の結果をまとめると、まず一般的な感染症(風邪や中耳炎、鼻炎、クラミジアなど)の治療の際は、成人で約3%小児の場合は約2%と、なんらかの副作用が出る確率は30~50人に1人程度となり、それほど確率は高くないことがわかります。(なお、ピロリ菌治療の場合は他にアモキシシリンやオメプラゾールを併せて服用するため、副作用確率は跳ね上がっています)

 

とはいえ、「副作用の出る確率は3%程度」と聞くと低いように見えますが、その中には、ごくまれにですが重症化するケースも含まれているので油断はできません。わずかながら副作用が起こる確率があることは事実なので、クラリスロマイシンを服用するなら副作用について知っておくことは重要です。

 

目次

 

クラリスロマイシンの副作用<吐き気・腹痛・下痢など>

 

0.1~5%

0.1%未満

悪心(気持ち悪い)、嘔吐(吐き気)、下痢、胃痛・腹痛など

食欲不振、軟便、口内炎、舌炎、胸焼け、口渇、便秘、鼓腸放屁など

 

体内には悪い細菌だけでなく、善玉菌もいます。クラリスロマイシンは抗生物質なので細菌を攻撃しますが、退治する細菌を選別できるわけではないので、善玉菌も攻撃してしまうことがあるのです。胃は善玉菌の減少の影響を一番受ける器官なので、腹痛や吐き気といった消火器系の胃腸炎のような副作用が出やすくなります。副作用がさらに進むと、食欲不振、消化不良、口渇といった症状も出ることがあります。

 

また、腸も善玉菌の栄養を受けやすく、「下痢」「便秘」という形で症状が現れることがあります。下痢と便秘は真逆の症状に見えますが、クラリスロマイシンが善玉菌を攻撃すると、腸内バランスが乱れてしまいます。その結果、下痢と便秘のどちらにも転ぶ可能性もあるのです。また、人によってはお腹にガスがたまり、おならが出やすくなるケースもあるようです。

 

かなり低確率ではありますが、クラリスロマイシンの副作用が重くなると「偽膜性大腸炎」になることもあります。これはクラリスロマイシンの作用によって、腸内の「クロストリジウム・ディフィシル菌」が繁殖してしまうためです。普段は抑え込まれている菌ですが、腸内バランスの乱れによって大増殖してしまうわけです。

 

偽膜性大腸炎になると、下痢・腹痛・発熱、吐き気などの症状が起こります。高齢者・腎不全・白血病などの免疫低下者に多い副作用のため、体力が低下している際に服用するのは注意しましょう。

 

対策方法

 

クラリスロマイシンの胃腸に関わる副作用については、以下の対策が有効です。

 

整腸剤を併用する

 

抗菌剤の処方時には、胃腸の副作用を考慮して整腸剤・胃腸薬を同時処方することが多いです。もし処方がなく気になる場合は、ビオフェルミンなどの乳酸菌系整腸剤がおすすめです。クラリスロマイシンの服用によって減ってしまう乳酸菌を補充することができます。市販薬もあるので対策しておきましょう。

 

>>一緒に飲んだ方がいいものとは|整腸剤など

 

整腸剤の選び方・効果については、↑で詳しく解説しています。

 

クラリスロマイシンの服用ペース遵守

 

服用タイミングやペースを守ることも重要です。うっかり丸1日飲み忘れてしまい、次の日に倍の量を飲むなんてことをすると、血中濃度が上がって善玉菌に悪影響を与えます。クラリスロマイシンの副作用をなるべく低く抑えるには、しっかりと用法・用量を守ることも重要です。

 

善玉菌を増やす

 

善玉菌の減少が胃痛・腹痛の原因の1つなわけですから、善玉菌を増やすことを考えるのもありでしょう。

 

  1. ヨーグルト
  2. 味噌
  3. ザワークラフト
  4. 紅茶キノコ
  5. ケフィア

 

これらの食品には乳酸菌が含まれているので、善玉菌補給に最適です。とくにヨーグルトはさまざまな種類が発売されているので、食べ比べも兼ねて楽しく補給ができるでしょう。普段から食べておけば、クラリスロマイシンを服用した際にも強い胃腸を作ることができるでしょう。

 

温かい飲み物で胃腸を癒す

 

胃痛が出てしまった場合は、温かい飲み物を飲んで和らげることを考えましょう。飲み物の種類についてはカモミール茶がおすすめです。カモミールはもともと抗炎症作用がある薬草なので、胃痛をやわらげるのに最適です。

 

お腹に直接湯たんぽや電気パッドなどをつけて、暖めるのも効果的です。あまり熱くしすぎないで、温かいなと感じる程度の温度にするのがコツです。横になって休みつつ、湯たんぽでお腹を15分ほど温めるとラクになるはずです。

 

違う抗生物質に変える

 

抗生物質には人それぞれ相性があり、副作用の重さも違ってきます。クラリスロマイシンを正しく服用しているのに副作用がつらいときは、別の抗生剤に切り替えるのも手でしょう。

 

 

クラリスロマイシンの副作用<湿疹・発疹などの皮膚炎>

 

0.1~5%

0.1%未満

発疹、湿疹

蕁麻疹、かゆみ、光線過敏症

 

皮膚の副作用が出ることもわかっています。確率としては低いですが、かゆみがでたり、発疹や湿疹、蕁麻疹などの皮膚炎の症状が出ることがあります。

 

  1. 薬疹(薬の影響による発疹など)
  2. 光線過敏症
  3. アレルギー

 

理由は主に上記の3つですが、たいていの場合は薬疹と考えていいでしょう。光線過敏症の場合は、太陽光や部屋の明かりに反応して発疹が出てきます。いずれにしても、体に合っていないということなので、とくに対策もありませんし、服用はすぐに中止すべきでしょう。

 

クラリスロマイシンの副作用<めまい、頭痛、不眠など>

 

0.1~5%

0.1%未満

-

めまい、頭痛、不眠、眠気など

 

クラリスロマイシンの副作用として油断できないのが精神系の副作用です。なかでもよくあるのが睡眠に関する症状で、0.1%以下ではありますが「不眠」の症状を訴える人がいます。逆に「眠気」を訴える人もいるので、「不眠」「眠気」の両方とも出る可能性があるということは頭に入れておきましょう。

 

他にも、めまいや頭痛といった症状、さらに重くなると幻覚やせん妄、意識障害などもありえるとされています。もしこれらのつらい精神系症状が出る場合は、すみやかに服用をやめるべきでしょう。

 

不眠が出てしまうと、夜布団にはいってからなかなか寝付けないでつらい思いをするため、「睡眠薬を使おう」という気持ちになるかもしれません。ただ、一部の睡眠薬・抗不安薬は併用注意となっているので、安易に手元にある睡眠薬を服用するのは避けたほうがいいかもしれません。

 

また、併用注意でなかったとしても、睡眠薬は繰り返し服用すると依存性を発揮してしまい、やめられなくなる恐れがあります。基本的には何カ月もの長期服用をする医薬品ではないので、服用中はなんとか我慢するか、どうしても不眠が我慢できないなら別の抗生物質に変えるなどの対処がよいでしょう。もしクラリスロマイシンの服用中に睡眠薬の依存度が高まってしまうと、クラリスロマイシンを飲み終わったのに、睡眠薬から離れられなくなる恐れがあります。

 

クラリスロマイシンその他の副作用

 

上記で紹介した副作用だけでなく、クラリスロマイシンにはさまざまな副作用があります。ここでまとめて紹介します。

 

感覚器系の副作用~味覚異常、耳鳴りなど

 

0.1%未満

味覚異常(苦味)、耳鳴りなど

 

確率としては低いですが、クラリスロマイシンの影響で味覚異常・耳鳴りなどの感覚器系の副作用が起こることがあります。

 

もともと薬自体に強い苦味があるため、それが口の中に残ると食べ物の味がわからなくなるというのが味覚異常の主な原因です。

 

そのため子どもがクラリスロマイシンを飲みたがらないことがあることから、子ども用のドライシロップ製剤(甘いコーティング付の製剤)も用意されています。しかし、酸性の飲み物と混ざるとコーティングが解けてしまい、中心部のクラリスロマイシンの苦い味が口の中に溶けだしてしまうのです。

 

  1. スポーツドリンク
  2. 柑橘系(オレンジなど)の果汁が入ったジュース
  3. 乳酸菌飲料

 

これらはは酸性飲料となるので、ドライシロップ製剤のクラリスロマイシンとの相性はあまり良くありません。これらの飲料はまずはしっかり水でクラリスロマイシンを服用させてから、飲ませるようにしましょう。

 

また、胃薬などによっては、一緒に服用するとコーティングをはがしてしまうことがあるので、別々に、1つ1つ飲ませるようにすることも重要です。

 

肝臓・腎臓の副作用

 

基本的に、医薬品は肝臓(胆汁排泄)か腎臓(腎排泄)、もしくは両方を使って排泄されることになります。そのため、服用してからしばらくたつと、だんだん血中濃度が下がって、薬の効果が切れてくるわけです。また、臓器は排泄のために働くわけですから、多少の負担がかかることになります。

 

クラリスロマイシンは、尿と胆汁の両方の排泄が行なわれるタイプの医薬品となります。なので、肝臓と腎臓の両方に排泄のための負担がかかることになります。そう聞くと「両方に負担がかかる」と考えてよくないイメージを持つかもしれませんが、「分散しているので臓器の負担を減らせる」と考えることもできます。事実、ほとんど腎排泄のために、腎臓への負担がかなり大きくなる医薬品もあります。

 

とはいえ、腎臓と肝臓の両方を使用するため、

 

肝臓

AST(GOT)
ALT(GPT)
γ-GTP
LDH
Al-P

腎臓 BUNクレアチニン

 

これらの数値が上昇する可能性があります(0.1%未満)。なので、肝臓や腎臓に障害がある患者に関しては、クラリスロマイシンは服用できないことになっています。

 

その他の諸症状

 

0.1%未満

0.1%未満(ピロリ菌治療時)

動悸、発熱、脱毛、頻尿、倦怠感(だるい)、脱毛、カンジダ症、筋肉痛

血圧上昇、qt延長

 

その他の副作用としては、動悸などの心臓系の副作用、そして発熱や倦怠感などの風邪のような症状、さらには脱毛、倦怠感などもあります。いずれも低確率ですが、出現した場合は服用はやめましょう。

 

また、ピロリ菌治療時はアモキシシリンやオメプラゾールといった複数の医薬品を服用することになるので、発現する副作用もやや種類が増えます。なかでも血圧上昇やqt延長などの重大な副作用が現れるリスクがあるので、高血圧などを抱えている場合は慎重な服用が必要となります。

 

また、女性の場合はカンジダ膣炎にも注意しましましょう。カンジダ真菌は女性器に存在する常在菌となりますが、普段は免疫や善玉菌のおかげで増えないようにに維持されています。しかし、体調が悪くなったりなどで免疫力が落ちた時、カンジダ真菌が増えて発症してしまいます。そして、クラリスロマイシンなどの抗菌剤を服用した際も、善玉菌が減ることによってカンジダ真菌が増殖し、発症にいたってしまうことがあるのです。カンジダ真菌は「真菌」なので、クラリスロマイシンには影響を受けず、周りの善玉菌が減ることによって増えてしまうわけです。

 

むろん善玉菌が減ったとしても、通常は人間の免疫力が働いてカンジダ真菌が増えることはありません。しかし、クラリスロマイシンを服用するということは、それだけ体も弱っているということですから、カンジダ真菌が増える余地が出てしまうこともあるのです。もし万が一発症したときは、抗真菌薬で対応する必要があります。

 

クラリスロマイシンのジェネリックの副作用は違うの?

 

ジェネリックというのは、ざっくりと説明すると「成分が同じで名前が違う」医薬品のことです。なので、ジェネリックであっても、成分はクラリスロマイシンと同じということになります。当然、副作用についても基本的には同じと言っていいでしょう。

 

なので、クラリスロマイシンのジェネリックを服用して何か副作用のような症状が出たときは、対処方法も同じということになります。

 

クラリスロマイシンは特許期間が終了しているため、ジェネリックもいろいろ発売されています。とはいえ、成分そのものは同じなので、副作用についても同じと考えてよいでしょう。

 

まとめ

 

クラリスロマイシンの副作用をいろいろ解説しましたが、1つ1つの発症率は0.1~1%程度、総合しても3%程度なので、ほとんどの人は発症することなく服用を終えることになります。ただ、それでもなんらかの症状が出る人がいるのは事実なので、「自分はきっと問題ない」と油断してしまわないで、どんな副作用があるかは知っておきましょう。

 

  1. 高齢者
  2. 小児
  3. 肝臓・腎臓に障害がある人

 

また、これらの人はクラリスロマイシンの副作用も起きやすくなっています。とくに高齢者は体の機能が衰えている分、服用する機会も増えてくるはずです。なので、若い人と比較してもしっかりと副作用への意識を持っておくべきでしょう。